わたしは古着、古本、家も中古と、古いものが好きです。
骨董の価値などはわかりません。
美術品とかではなくて、
ただ使い古されたくたっとした木綿の手触りや、
細かい旧漢字がぎゅっと詰まった古本が好きなのです。
洋服や着物は前の人の気配を消すために、
塩をほんの少し投入して洗濯機で丸洗いします。
だから洗えるものしか買いません。
洗えば洗うほど、使えば使うほど
くたっとなり、肌に馴染む
木綿や麻の手触りが好きです。
使えば使うほど自然な艶が出る、やまぶどうで編んだ籠も大好きです。
家にはたぶん相性がありますが、
家の持つ記憶というものが好きです。
古い黒光りするような大黒柱がある家は、
糠や薪の煮炊きする匂いが残っており
大家族の営みの思い出を感じます。
熊本の家は170年くらいにもなるでしょうか?
ずいぶんな草屋ですが、わたしにはどこよりも浸透感があり、
心の芯の部分がこの家の中心とつながっている感じです。
それは離れていても感じます。
いま住んでいる足柄の家は47歳ですから
わたしよりもやっぱり年上です。
この家の持ち主は私で三代目。
雨の日は、ときたまほんの微かに煙草の匂いがする。
二代目の方は煙草は吸わない人だったようだから、多分一代目の人。
リフォームして壁を塗り替えても、柱や壁に微かに残っているのでしょうね。
庭には誰が植えたかな?といういろいろな木や球根があり、
実をつければ、この木はプラムだったのかあ!と驚きます。
誰かが庭の隅に葡萄を植えいて、
ほったらかしで、鳥が食べて、
気づいたらたったひと粒の葡萄の実を残していました。
そんな物語がおもしろいと思います
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