なんと詩情のある展開でしょう。
朝から湿った空気が流れ込み、雲が湿ったかたまりとなり印象的です。
湿ったかたまりとなった雲は次々と空を流れていきました。
すると、生暖かい風が野山を吹き荒れます。
やがて、風は止み、しっとりとした空になりました。
なめらかな、湿った、絹地のような空です。
よくみると絹地は光沢をもち波打っています。
やがて、山のてっぺんから少しずつ少しずつ、白くなってきました。
まるで霧が下りてきたように。
いくつも重なる山の稜線が少しずつ、ひとつずつ、
穏やかに姿を霧に隠していきます。
そしてあたりは野山は細かい音のない雨に包まれました。
音のない雨が野に、山に、畑に
降り注ぎ染み込んでいきます。
人々の心の細かいひだの内にも、やさしい雨は音をたてずに、
ゆっくりゆっくりと染み込みます。
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