久しぶりに川の匂いを嗅ぎます。
雨後のしっとりと肌にまとう空気のなか、ああ、わたしは毎日こうやって夕べに川辺を歩きたいと思うのです。
川面を渡る風を浴びていると、なぜこんなに懐かしいんだろう?
せせらぎの音を聴いていて飽きることはない。
川辺で物思いに耽ると、わたしの心身も水で充たされていることを知る。
わたしの中の何かがさざなみ、満ちているのを知る。
思うに人はあてどもなく取り留めなく思いながら川辺や山を歩くことで、自分の感情や思考を均しているのではないか。まるで鍬で畠を均等に耕すように。ぶれた針の動きを均等な揺れ幅に戻すように。
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