最近は、地元農家の畑にある販売所でお野菜を買うことが多いので、季節にどんな野菜が出回るのかをよく知るようになりました。間引き菜やからし菜などはスーパーでは手に入りませんし、穫りたてはとてもフレッシュです。葉を湯がくとサッとみずみずしい青色にかわり、目を見張るほどの鮮やかさが、気持ちよく感覚に訴えます。
「感覚に気持ちいい」というのは、絵や文章を作るときに使う脳の部分に快感を覚えることです。この感覚を頼りに物事を選んでいくのもちょっと変わった体験でなかなか楽しいものです。たとえば朝ご飯に何を食べようかを考えるとき、その後頭を使う仕事をするとして、一番気持ち良く過ごせそうなものを選んでみます。うーんと少し考えて、庭に埋めておいた大根から伸びてきた青い葉を摘んできて、色よく塩水で茹でたのを炊きたての白いご飯に混ぜてみる、シンプルな菜飯が良いなと感じました。根菜のお味噌汁と梅干しを添えて、そのくらいにしておきます。菜飯はカブの葉でもいいし、きっと春には蕗の葉を使うことでしょう。
以前熊本にある故祖父母の、とても古い家に住んでいました。その家は築100年以上、煤のかぶった黒い柱や竹を組んだ屋根裏が、何か昼間でも薄暗いひんやりした感じを漂わせていました。その障子越しの光が竹林が揺れる度にゆらゆらします。そんなとき、何か森の中にいるような、木漏れ日の中にいるようなとても気持ち良い感覚を味わいました。
こういうことは今の小ぎれいで明るい住宅では味わえないような気がします。生活するなか、こういった感覚を頼りに過ごしやすく工夫していきたいと思うものです。
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